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2023年2月28日火曜日

SM2264がようやく流通していたので買ってみた件

SM2264といえば、2020年の発表当時PHISON E18とSamsung 980 PROに続く7GB/s級のGen4 SSDコントローラとして注目されていた。しかし、採用製品がなかなか登場せず、また同時期に登場したInnogrit IG5236の性能が良好であったこともあり話題性は薄れていた。

そしてどうやら2021年の半導体不足にド派手に巻き込まれていたようで、発表から丸2年経った2022年秋からようやく2264コンを搭載するSSDがトランセンドとADATAから発売されていた。それが次の2シリーズである

・Transcend MTE250シリーズ

MTE250SとMTE250Hの2種類、ヒートシンクサイズ違いで両面実装である。

1TB/2TB

1 TB最大 Read 7,200/Write 6,200 MB/s  4kRead 530,000/ 4kWrite 420,000 IOPS 1480 TBW

2TB最大 7,100/6,500 MB/s 530,000/420,000 IOPS 2960TBW


すさまじいTBWの一方で4k randomが控えめに設定されているのが特徴的。この時点でなんとなくBiCS系統の雰囲気はする。


・ADATA LEGEND 960シリーズ

LEGEND 960とLEGEND 960 MAXの2種類、こちらもヒートシンクのサイズ違い、両面実装

1TB/2TB/4TB

1TB Read 7,400/Write 6,000MB/s 4kRead 730k/4kWrite 610kIOPS 780TBW

2TB 7,400/6,800MB/s 750k 630kIOPS 1,560TBW

4TB 7,400/6,800MB/s 700k 550kIOPS 3,120TBW


こちらはTBWが控えめで4k randomも高速だが、1000kには届かないので惜しい。実際にはカタログスペック以上の性能を発揮しているレビューがよく見られるため、カタログスペックは余裕を持たせているのではないだろうか。少なくとも初期ロットはB47Rらしくレビューを見る限りなかなかいい性能である。ADATAはよく部品をサイレント変更してくるのでその示唆ではないかとか酷い謂われようもされている。

最初は後者を手に入れる予定だったが、初価が高価だったこともあり前者のMTE250Sを入手した。

パッケージ

MTE250Sは、アルミと思わしき薄型のヒートシンク(シート)が採用されたモデルになっている。250HはPS5向けのヒートシンク一体モデルになっている。マザーボードのヒートシンクを使用するのであればこちらのほうが都合がよいだろう。


ドライブ本体にはTranscend自封片が両面に2個ずつ実装されており、「41-6440-D04DT」という型番だった。よくわからないので挨拶代わりにツールを使用して解析したところ、未対応のため盛大にバグりながら出力された。Bufferlessとなっているが、DDR4メモリらしきものが搭載されており、データシート上も合致するためこれは誤判定である。

BiCS5ダイと判定された

結果は案の定、BiCSと判定された。メモリチップが1面につき2つしか乗らないためかBiCS5の1024Gbitダイを採用したようである。1024Gbitダイを採用したドライブを見たことがなかったのでちょっと感激した。
もちろん、実際に封止を開封したわけではないので誤っている可能性もゼロではないことに留意してほしい。

続いてCDM計測した。

CrystalDiskMark(Ryzen環境)

この測定はCPUレーンで実行したが、やはりランダムアクセスは速くない。特に4kq1で59MB/sという値は…けっこう遅めである。とはいえシーケンシャルは十分高速で廉価なので、PS5なんかにはちょうどいいのではないだろうか。それからFF15 shadowbringers ベンチマークでは8.555sと実用上は意外に速い。

連続書き込み

クリエイターワークロードを想定した連続書き込みでは、300GB程度のSLCキャッシュが切れると640MB/s前後まで低速化した。マジかよ。確認したが発熱も控えめだったためオーバーヒートではないと思われる。クリエイター用途よりかはゲーム用ドライブと割りきったほうがいいだろう。

結論

BiCSとの組み合わせでもSMIコン特有の素早いロード性能は健在であった。全体的にスピードがやや遅いのが気になるが、優れた耐久性は評価できるだろう。PS5の増設ドライブや、頻繁にデータ更新のあるオンラインゲームのインストール先、キャッシュドライブといった用途にうってつけだろう。
肝心のSM2264コンに関してだが、読み込みの速さは健在であり発熱も控えめで非常に使い勝手がよいものの、出遅れて他社より存在感が薄くなってしまったのが残念である。せめてIG5236より早く出ていればよかったのだが、枯れた半導体プロセスを使用する関係で半導体不足に巻き込まれてしまったことが悔やまれる。筆者の検証環境は残念ながらGen4で二の足を踏む予定であるが、Gen5世代の活躍に期待したい。