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2019年4月9日火曜日

ドスパラ疑惑SSDは何がヤバいのか

はい。管理人です。
ドスパラさんが自社ブランドのSSD(台湾RITEK製)に関して「問題はないと検証結果が出たため再販する」といった内容が自作界隈で少し燃えておりますので、ここで改めて「何がいけなかったのか」、「声明のどこがおかしいのか」について書いていきます。
眠い目をこすりながら書いたものですので、細かい表記ゆれなどに関してはご容赦願います。

何がいけなかったのか

まずこれ。ドスパラSSDの何がいけなかったのか。それは主に「リマーク」している点です
ドスパラSSDでは、店員の書き込みで「Micron製NANDメモリ」と紹介されていたほか、実際に分解した時点では「Micronロゴ」らしきものが実際に見て取れます。ですが、実際にMicron純正ブランド、crucial製のM.2SSDをお持ちの方であればcrucial SSDのNAND(pc.watch様へのリンク)にはバーコード状の模様があることがわかるかと思います。これが当該SSDの削る前のNAND(その他の怪しい格安SSD全般も)には見当たりません。
 さらにPC修理廃人さんがバーナーで軽く炙って検証したところ、剥けた皮の中からMicronのグループ企業である「SpecTek」のロゴと、「SG」と書いてあるバーコード付きのNANDメモリが顔を出しました。これは「リマーク」と呼ばれる行為で、「AのブランドからBのブランドに書き換え」する行為です。グループ会社ではあるものの、「SpecTek」はMicronで製造されたメモリのうち、Micronブランドにはふさわしくない訳あり商品専用のブランドで。さらに「SGグレード」は「単純テストだけ合格、あとは全部不合格」といったのび太もビックリなポンコツメモリを指す型番ですので、これをMicronが一度弾いたものを再び上位ブランドに戻して出荷できるような代物ではありませんもし戻すようなことがあっても、管理用のバーコードが潰れるような処理はしない(あるいはバーコードも焼き直す)でしょうこのMicronロゴはニセモノである可能性が高いと考えられます
一応、SpecTek社紹介ビデオでもリマークをしている作業は映っていますが、これはむしろMicronで検品落ちしたものからMicronロゴを潰しているものです。その場合はちょうどリンク先中央にあるようなちょっとダメだった子のように、Micronロゴの上からSpecTekロゴが刷られたメモリが爆誕します。ドスパラSSDのようにロゴを完全に覆うようなことはしないようです
また、製造元の台湾RITEKの声明では、"本製品は生産工程において、micron製 NANDに、生産地域識別のために「SG」などの刻印をし、その上にメーカーロゴの刻印を実施後、 SSDを生産し、出荷を行った製品です。"とあるように、なんと生産工程内で「Micron製NAND」(SpecTekブランドでしたが)に「偶然にもSpecTekと同じフォントで」刻印を入れ、「勝手にMicronロゴを刷った」としています。これではMicronの商標権を無視してロゴを刷りなおしたことになります。(むしろ問屋に偽物を掴まされた可能性を排除しています。)

以上のことから、何者かによって販売価値を高めるべく、訳あり下位ブランドの「SpecTek」から上位ブランドである「Micron」に偽装させられた悪質なメモリである可能性が高いと考えられます。故意、過失にかかわらずMicron社の商標を侵害した製品を組み込んだわけですから、これは「知らなかった」では済まされない重大な品質管理インシデントであります。

声明の問題点

では、ここで先日のドスパラさんの声明を読んでみましょう。ドスパラさんによると第三者機関に「エンデュランス試験」をしてもらった結果とRITEKの声明を受けて再販に踏み切るとのことです。
的を得た回答になっていません。いえ、確かに「耐久性が低く、使えない製品ということではない」ということを仰りたいのでしょうが、「何者かによって偽装された低品質メモリが使用されていた事実」「Micronの商標権を侵害した可能性」に関してはノータッチです。むしろ「製造中にMicronの商標権を侵害している」ようにとれる発表にもかかわらず、「本製品の製造過程におけるコンプライアンス違反等はない」と言い切れるのが謎です。お菓子で例えれば、虫が混入していたお菓子に対して「加熱しているから大丈夫」「衛生管理は徹底しているから虫が入っていても問題ない」と開き直るような話です。

ドスパラさんは「なぜSpecTekロゴの上からMicronロゴが描かれたNANDメモリが組み込まれていたのか」「(RITEKの仕入れ元を含め)誰がNANDメモリにロゴを上書きしたのか」「新しいロットには純正、あるいは偽装されていないメモリが搭載されているか」を追求・確認するべきでしょう。もし「ノーブランド3D NAND」が組み込まれていれば、(品質はともかくとして)単なる「怪しいキワモノSSD」としてここまではもつれ込まなかった話です。

もちろんドスパラさんは、Palitの日本独占販売や上海問屋など「キワモノ」を扱うことは多い企業さんではあります。ですが、パチモンは違法です。どうかまがい物のSSDを売って知らん顔をする、そんな無責任な行為だけは絶対にしてほしくないのです…が……どうなるのでしょうか。
信用を得るのには時間がかかりますが、崩壊させるのは一瞬です。勇気ある行動で無事に解決することを祈っています。

最後に税関のお言葉を引用して締めくくりましょう。

偽ブランド品の「だって」をゼロに。

だから、私は買わない



2019 04/08 初版
        04/09 一部追記
        04/11 一部追記、見やすく改良
  07/07 一部修正