一部webサイトでWestern Digital製のSN750 SE SSDをPS5に入れようと推奨している記事がありますが、やめたほうがいいです。おそらくですが、あれはPS5側の誤判定で使用できてしまうものと考えられます。
なぜ使えてしまうのか
SN750SEは読み込み最高3600MB/sとPS5の推奨要件には全く届かない、値段重視のドライブです。そのコントローラにはWD自社製ではなく、台湾PHISON社のE19Tという既製品を採用しています。そこで同じPHISONのgen4コントローラを採用するCFD販売の"PG3VNF"を使ってある実験を行ってみようと思います。
まずCrystalDiskMarkでベンチマークをします。
これの種明かしをすると、ウィンドウに「0fill」と書いてあるのがわかると思います。これが原因で、公称値を大きく上回る転送速度がPS5で誤判定されてしまうのです。
追記:PS5の2021年12月のアップデートで測定方法が修正されたようで、PHISON系SSDの測定速度が全般として下がり、SN750SEなどスペックを満たさないものでは正常に遊べない可能性のある旨の警告がきちんと出る様になったようです。
0fillデータとは
0fillは、CrystalDiskMarkのノーマルモードで使用されるランダムなデータではなく、文字通り0で満たされたワンパターンなデータのことです。PHISON社製のコントローラでは、SSDの延命を図るとしてフラッシュメモリに格納するデータを圧縮して保存しているそうなのですが、この仕組みが0fillデータに対して公称値を超える転送速度をたたき出すように働いてしまうのです。そしておそらく、PS5の速度計測においても0fillデータを使ってしまっていたと考えられます。
当然ですが、ゲームデータは0で満たされたワンパターンなデータではありません。プログラム、テクスチャ、サウンドなどがごっちゃになっており、ランダムデータに近い状態で格納されています。つまり実際にPS5で動作する場合はcrystaldiskmark ノーマルモードの測定値がシチュエーションとして近い可能性が高い、ということになります。
現状出ているタイトルではほとんど支障はないようですが、E19TコントローラはDRAMレスでランダムアクセス等ではPCIe Gen3製品にすら性能が劣っています。PS5にはHMB機能もないので今後、PS5をフルに活用するAAAタイトルにおいてロード時間が長くなったり、不具合の原因となる可能性があるとされています。(PS5本体のSSDもDRAMレスなので、大差ない可能性が高そうですが。)
もしSSDを買いなおすようなことになれば、二重の出費になってしまいます。ですから、できれば最初からスペックを満たすCFD販売の"PG4NZL"やWDの"SN850シリーズ"、Samsungの"980Pro/990Pro"、CrucialのP5Plusといった高速な製品を検討するようにしましょう。
もしすでにSN750 SEを買われてしまった方は今すぐ変えるべきか、というとそうでもありません。例えば、M.2にはロード時間の影響の少ないタイトルをインストールし、不具合の出てしまうタイトルだけ本体にインストールする、現状高価な2TB/4TBの製品がこなれてくるまでのつなぎにするなど運用でカバーするのもいいアイデアです。(Twitterで意見をくださった皆様、ありがとうございます。)